断熱材の種類で大きく変わる!内断熱と外張り断熱で快適な家
今回は家で快適に過ごす為の断熱について、断熱材の種類と断熱工法の両方を見ていきましょう。
断熱後進国である日本は、断熱先進国であるドイツと比べるとあまりにも低い数値になっています。
にも関わらず、「省エネ等級」などの称号が簡単に与えられ、「暖かい家です」と家が売られています。
では、日本の家が寒いと言われる原因は「壁の断熱」と「窓の断熱」がその多くを占めています。
今回はその「壁の断熱」を左右する断熱材の種類についてみていきましょう。
断熱について知らない不動産業者がたくさんいます、まずは自分が断熱について知らなければ、寒い家を建てることになってしまいますよ。
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断熱材の選び方
先に申し上げると、どの断熱材も良し悪しがあるだけで、どの種類を使っても問題ありません。
「グラスウールだからダメ」というのをよく耳にしますが、グラスウールがダメなわけではありません。
施工方法に問題があるだけです。
例えば断熱性能で評価の高いスウェーデンホームでは標準仕様で充填用のグラスウールを使用しています。
隙間なく厚みを計算して施工したグラスウールは施工費も安価に済みながら高い断熱性になります。
キングオブ断熱材として評価が高い「セルロースファイバー」は、どんな家にも左右されず高い断熱性や快適性を出せる為、評価が高いのです。
大事なことは施工業者の得意とする断熱材と家毎でどれが適しているか(柱の大きさなどの構造)を考えるという事です。
それを間違えると、家の断熱性が大きく変わってしまうので注意しましょう。
まずは、断熱材にどのような種類があるのか確認していきましょう。
断熱材の種類は大きく分けると「繊維系」と「発泡プラスチック系」の2種類
断熱材の種類は沢山有りますが、系統としては2種類に分かれます。
- 繊維系
- 発泡プラスチック系
さらにそれを分けると
◆繊維系
- グラスウール
- セルローズファイバー
- ロックウール
- インシュレーションボード
- 羊毛断熱材
◆発泡プラスチック系
- 吹付ウレタン
- 硬質ウレタンフォーム
- ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)
- フェノールフォーム
それでは代表的な断熱材の特徴や性能を見ていきましょう
グラスウールの断熱性
一番、一般的に知られているのがこの「グラスール」。
断熱材を気にされている方は「グラスウール」と聞くと断熱性能が低いと感じ毛嫌いされる方も多いかもしれません。
グラウール自体は非常にコストパフォーマンスに優れており、様々な住宅メーカーで採用されてきました。
簡単に施工できるがために、安易に施工された経緯があり、施工で気を付けなければならない注意点を無視して施工され寒さの原因になってしまいました。
それ故、「グラスウール」=「寒い」になってしまったのでしょう。
断熱性能を計算して必要量と隙間の無い埋め方、結露対策をすれば悪い断熱材ではないことは念頭に置かなくてはいけません。
とはいえ、施工レベルで品質が左右されてしまう現実はあるようです。
特徴としては、無機質素材な為燃えにくく、吸音効果に優れています。
床や壁、天井と様々な場所に使える柔軟性があります。
隙間なく注意して施工すればコストパフォーマンスに非常に優れた断熱材です。
下の図は断熱材の熱伝導率について表したものです。
値が小さい方が外部からの熱の影響を少なくてすみます。一般的には断熱性が高いとみてもいいです。
◆グラスウールの熱伝導率
断熱材 | 熱伝導率(λ)W/mK |
グラスウール10K相当 | 0.05 |
グラスウール16K相当 | 0.045 |
グラスウール24K相当 | 0.038 |
グラスウール32K相当 | 0.036 |
高性能グラスウール16K相当 | 0.038 |
高性能グラスウール24K相当 | 0.036 |
※メーカーなどにより性能は異なる可能性があります。
その費用の安さから、ローコスト住宅のほとんどが「グラスウール」を採用しています。
グラスウールの施工が上手な施工会社であれば断熱部分にかかるコストを安く済ませられます。
セルローズファイバーの断熱性
セルローズファイバーの原材料になっているのが、新聞紙や段ボール、綿です。
原材料自体は比較的安価なのですが、製造が大変な事や、施工が大変な為、比較的高価な部類の断熱材になります。
費用はかかりますが、キングオブ断熱材の呼び声も高い断熱材です。
その理由としては、高い断熱性はもちろんのこと、
燃えにくく火災に強い点、
周囲の状況によって水分を吸ったり吐いたりする調湿効果、
カビや害虫に強い点が挙げられます。
専門業者が施工することが多く、気密性が高く断熱材本来の性能を発揮しやすい断熱材です。
アメリカではその高い断熱性能から一番使われている断熱材となっています。
断熱性が高く、調湿効果が高く内部結露しにくい断熱材な為、家の長持ちが期待されるのが、人気の理由でしょう。
デメリットとしては、コストが高い点と、将来的に沈殿する可能性があること、
増築などのリフォーム時にセルローズファイバーが飛び出て大変なことくらいでしょう。
◆グラスウールの熱伝導率
断熱材 | 熱伝導率(λ)W/mK |
セルローズファイバー | 0.04 |
※メーカーなどにより性能は異なる可能性があります。
熱伝導率自体はグラスウールよりも性能が低いですが、気密性と実際に使われる断熱材の厚み(量)が違うので、断熱効果はセルローズファイバーの方が高い事がほとんどです。
スポンサードリンク吹付硬質ウレタンフォームの断熱性
近年、グラスウールに次いで使われているのが「吹付硬質ウレタンフォーム」です。
全体のシェアの約2割が「吹付硬質ウレタンフォーム」です。
壁の内部に直接吹き付ける(スプレー)工法で、吹き付けられた瞬間泡状に発泡し、固まりそれ自体が断熱材になるものです。
現場で直接部材に吹き付ける為、気密性に優れ、効果の高い滅伝導率とあいまり高い断熱効果を発揮します。
将来的には隙間が発生しにくく、長期間にわたって高い断熱性を期待できます。
◆吹付硬質ウレタンフォームの熱伝導率
断熱材 | 熱伝導率(λ)W/mK |
吹付硬質ウレタンフォーム(現場発泡) | 0.026 |
※メーカーなどにより性能は異なる可能性があります。
デメリットとしては、グラスウールやセルローズファイバーに比べ燃えやすい点と、燃えた際の有毒性です。
難燃性については、燃えにくくする工法を考えられますが、
燃焼時の有毒性については、火事になったらすぐに逃げる事が鉄則なので、考えすぎは良くないかもしれません。
そもそも火事になれば有毒ガスはなにかしら発生しますからね。
どんな断熱材を使うにせよ火事には注意しましょう。
ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)の断熱性
ポリスチレン樹脂に、発泡剤と難燃剤を加えてビーズ状にしたものを発泡させた断熱材です。
イメージとしては発泡スチロールに近いものです。
水や湿気に強く、軽い事がメリットに上げられます。
梱包材同様、断熱性能に優れています。
軽さと、水に強い点から、外張り断熱工法にも使われる事があります。
ビーズ法ポリスチレンフォームの代表的な断熱材では、「スタイロフォーム」「フォルテボード」「ネオポール」等があります。
非常に軽い断熱材ですので、家の躯体に負荷がかかりにくい点は非常に嬉しいポイントです。
また、「フォルテボード」「ネオポール」についてはその軽さと丈夫さから外壁材として使われています。
サイディングなどに比べて非常に軽く、また断熱効果のある外壁材として人気があります。
◆ビーズ法ポリスチレンフォーム
断熱材 | 熱伝導率(λ)W/mK |
ビーズ法ポリスチレンフォーム | 0.034 |
フェノールフォームの断熱性能
フェノールフォームは優れた断熱性能を持つものが多く経年劣化が少ない特徴があります。
代表的なものにも「ネオマフォーム」「フェノバボード」などが挙げられます。
直接火をあてても燃えにくい為、不燃材料・準不燃材料として認定を受けているものが多くあります。
ビーズ法ポリスチレンフォーム同様、外貼り断熱で使われることがある断熱材です。
◆フェノールフォーム
断熱材 | 熱伝導率(λ)W/mK |
ネオマフォーム | 0.02 |
フェノバボード | 0.019 |
フェノバボードはこれだけの優れた熱伝導率を持ちながら、35mm程度という薄さにとどめているのは施工の面でも、家にかかる負担に対しても極めて優れた断熱材です。
いずれにしても非常に断熱性能の高い断熱材になります。
スポンサードリンク内断熱とは?
ここからは断熱材の工法についてご紹介します。
断熱工法には大きく分けて「内断熱」と「外断熱」があります。
内断熱とは日本の一般的に見られる柱の間や壁の内側に断熱材を敷き詰めた工法の事です。
メリットとしては外断熱と違い外壁部分に断熱材を施工しないので外壁の厚みが小さくてすみます。
建蔽率が小さくても、ギリギリまで部屋を大きくしたい時に有効な工法です。
また、外貼り断熱に比べ安価に抑えることができます。
デメリットとしては外壁材が冷気で冷やされると、断熱材部分との温度変化によって内部結露を起こしてしまうケースがあります。
※内部結露とは、窓結露のような事が柱の中でも起こっている状態です。
内部結露はとても怖く、せっかく頑張って建てた家の躯体(木)にカビが生えたり、腐らせる原因になってしまう事があります。
外壁材と合わせた内断熱の断熱材を選ぶ必要があります。
外断熱とは?
通常、壁の仕上げ材(サイディングや塗り壁)のすぐ内側に通気層を設け断熱材を貼る工法です。
柱間に敷き詰めるのではなく、外側に包み込み用に断熱材を貼る為、気密性に優れ、外部からの冷気を冷気に届けず内部結露の原因を防いでくれます。
ドイツなどの断熱先進国のほとんどは、外貼り断熱を採用しています。
メリットとしては、壁内部に断熱材の施工をしないので、壁を厚くせずに断熱処理をすることができます。
また、隙間が発生しにくい工法の為、気密性が高まりす。
非常にすぐれた断熱方法ですが、日本で浸透しきれない要因は、費用の高さがネックになっているようです。
内断熱と外断熱はどちらがいいの?
内断熱・外断熱はそれぞれ価格のメリット、断熱効果、に加え、家の寿命にも大きくかかわってきますが、
筆者の考えとしては、費用に問題ないのであれば、外貼り断熱をオススメします。
断熱効果としては外張り断熱の方が、効果が得られやすい点と、内部結露しにくいという利点を考えると、外張り断熱に軍配があがるのではと考えます。
ただし、あくまでもコストを度外視した考え方なので、断熱材にそこまで費用をかけられない方は、内断熱工法の中で、一番相性のよい断熱材を選ぶ必要があります。
内断熱と外断熱を両方する工法がW断熱
内断熱と外断熱の両方を施したW断熱工法というものもあります。
外張り断熱のメリットである、気密性や内部結露しにくい特性に加え、断熱性を補てんするように内断熱を取り入れた工法もあります。
非常に優れた工法ですが、なにぶん費用が掛かるのが最大のデメリットになります。
ですが、冬に家へ入った時の感覚が肌で分かるほど快適ですので、お金に余裕があるなら検討してみてもいいと思います。
断熱を良くすることは、ランニングコストを安くするメリットも
断熱性能を良くすることは、居住空間の快適性を良くすることはもちろんの事ですが、
毎月の電気代やガス代を節約することにも繋がりますね。
一般的な家庭が1年に使う電気代が数万円クラスで変わってきますので、断熱材分の費用を10年、20年かけて回収できる場合が多い事も忘れてはいけません。
また、エアコンが嫌いな人は、断熱材でエアコンの変わりに快適性を得るという考え方をすれば断熱材に使える費用が変わってくると思います。
家の断熱性能が良ければ、ほんの少しの暖房で冬を乗り切ることだって可能です。
断熱材の種類 まとめ
様々な方法があるので、使える金額に見合った断熱材、断熱工法を選ぶ必要があります。
ハウスメーカーなどの営業マンに、「過剰断熱になりますよ」などと言われることがありますが、1999年のデータを使った断熱後進国の考え方をそのまま鵜呑みにすると、後々辛くなるのは住む人です。
その為にも、営業や建築家の言いなりにならないように自分なりに断熱材を調べる事はとても大事なことです。
また、せっかく建てた家なので、断熱材による内部結露が起きないように大事に長持ちさせてあげるということです。
その為にも、家が長持ちするような断熱材、断熱方法を選ぶことは非常に重要なことですね。
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